AsahiーSPACE

朝日 遊 による、小説用ウェブサイトです。コメント等はお気軽にどうぞ!

セカンド・スカイ (プロローグ)

 眼下に広がる雲海と、それをゆっくりと動かす横風。

 横を見れば、遠くを流れる巨大な雲と、それに隠れた太陽の欠片があった。

 何をすることもなくその風に身を任せ、ケイはぼんやりと景色を眺める。

「いつ見ても、凄い光景だよねぇ」

 横からアユハがぽつりと言って、その白い息が冷えた空気にふわりと溶ける。

「そうだな」

ケイは短く返してから、両手を擦って暖めた。

 着ているのが内部の温度調整もできる特殊スーツとはいえ、それは気休め程度の機能でしかなく、顔や手に染みる空気の棘のような冷たさは遮ることができない。ここは標高が二千メートルくらいの場所。加えてこの身一つで空の上。

 空の上――それは、人類が手に入れた、二つ目の居場所だった。

 

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宇宙旅行日記 第2話

 

 西暦2626年3月2日。

 朝、目が覚めて、いつもの癖で窓を見る。そこには青空も雲も鳥も見えず、あったのは黒い背景に点々と輝く星たちだった。

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