第6話
続きを読むセカンド・スカイ (プロローグ)
眼下に広がる雲海と、それをゆっくりと動かす横風。
横を見れば、遠くを流れる巨大な雲と、それに隠れた太陽の欠片があった。
何をすることもなくその風に身を任せ、ケイはぼんやりと景色を眺める。
「いつ見ても、凄い光景だよねぇ」
横からアユハがぽつりと言って、その白い息が冷えた空気にふわりと溶ける。
「そうだな」
ケイは短く返してから、両手を擦って暖めた。
着ているのが内部の温度調整もできる特殊スーツとはいえ、それは気休め程度の機能でしかなく、顔や手に染みる空気の棘のような冷たさは遮ることができない。ここは標高が二千メートルくらいの場所。加えてこの身一つで空の上。
空の上――それは、人類が手に入れた、二つ目の居場所だった。
続きを読む